伝統工芸・長崎ハタに魅了された人【前編】
KOMINKAN JAPAN Special Issue

伝統工芸・長崎ハタに魅了された人【前編】

長崎県の伝統工芸品に指定されている長崎ハタ。

長崎では凧(たこ)のことを「ハタ」と呼び、ハタ揚げは長崎くんち・精霊流しと並んで長崎三大行事の1つとなっています。
また、長崎のハタ揚げは“喧嘩凧”としても有名です。高く揚げて楽しむだけでなく、風を読みハタを操作して糸の切りあいをする真剣勝負。江戸時代から長崎の人たちを熱狂させてきました。

KOMINKAN JAPANで販売している長崎凧を製作する、大守屋の主人・大久保学さんもハタ揚げが好きで、ハタに魅了された1人。
そんな人が製作するハタとは。商品開発チームの松尾が大久保さんのハタづくりへの想い、こだわりのポイントなどについてインタビューしました。

ハタ好きの作るハタ



松尾
ハタを作るようになったきっかけは何だったのですか?

大久保
もともとハタ揚げが大好きでして。ハタ揚げにハマるうちに、骨(竹)のしなり具合いや組み方、風の受け方などもっとこう改良したいなといった思いが湧いてきて、それで自分用にまずは大きなハタを作ってみようと思ったのが始まりでした。

松尾
ハタの作り方はどうやって身につけていかれたのですか?



大久保
最初は、購入して揚げていた愛用のハタをじっくり見ながら見よう見真似で作り始めました。
次々に大きなハタを作っていると和紙の余りがたくさんたまってくるので、それで年末には小さな干支のハタを作って、年賀状代わりに同僚に配ったり、仕事の取引先には名刺と一緒に差し上げたりもしました。



松尾
いいですね!干支のデザインのハタってなかなかないですし、ハタの贈り物はかなり喜ばれたのではないですか?

大久保
いろんな方に喜んでいただきまして、それが嬉しくて。仕事を辞めて何をしようかなと思ったときに、「そうだ、大好きなハタを仕事にしよう」と思ったんですよ。

松尾
そうだったんですね。
ハタを制作するうえで、こだわっていることはありますか?

空に上がった姿を思い浮かべて

大久保
ハタは作る人によって骨組みの長さやデザインが少しずつ違うんですよ。
私はハタ揚げが好きで始めたので、設計もデザインも空に上がったときのことを想像して大事にしています。
基本的に色は白・赤・青で、黒がときどき。長崎ハタの伝統的なデザインを元に、空に上がった姿が威厳のある印象になるように限られた面積の中で色の割合を調節しています。

松尾
なるほど。手元で見るのと空に上がったときでは、印象が違うんですね。

大久保
空でも映える絵柄なので、室内に飾ると「よりインパクトが感じられて部屋の雰囲気が引き締まるね」という嬉しい感想もいただきますよ。



松尾
そうなんですよね。我が家でも飾らせてもらっていますが、白・赤・青のトリコロールカラーとシンプルなデザインが、洋室にも和室にもいいアクセントになってくれています。色や柄がシンプルだからこそ、空に上がればくっきりと色が映えるんでしょうね。
幼いころ、祖母とハタ揚げを見て「山に花が咲いたようだね」って話していたことを思い出しました。


(後編に続く)


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この記事を書いた人

坪井(KOMINKAN JAPAN編集部)