YOKKA
STORY 05 久留米絣(くるめかすり)を作る人 5. 坂田織物の挑戦

織元としてこれからできることは何なのか。坂田織物が考える今後の久留米かすりの未来と、新たな挑戦について詳しく聞きました。

織元の新たな挑戦

坪井 新しい取り組み、チャレンジがあるとのことでしたが、どのようなことでしょうか?

坂田 まずは、自社の3つのファッションブランドを育てていきたいです。30年ほど前に先代である社長の父が年配の方をターゲットに立ち上げた「かすりの里」というブランド。かすりを製造する工程で出てくる残糸をどうにかしたいと一本一本繋いで織って布を作り、より若い世代に向けて作った「TUGU.」。それから緯糸(よこいと)の“緯”と書いて「TSUKANE」という海外用のブランドがあります。

坪井 3つもファッションブランドをお持ちなのですね。海外向けがあるのも驚きでした。

新しいテキスタイルブランド

坂田 そこにテキスタイルブランド「sakata」をスタートさせました。織物としてのブランドは弊社では初めてです。技術者として、美しいものをどういう風に加工していくか、素材が本当に綿だけでいいのかなど、様々な追求をしていくためのブランドなので、織元としては一番プレッシャーを感じるブランドとも言えますが。

坪井 テキスタイルのブランドということは、織元さんの原点ともいうべきものですね。いつ立ち上げられたのですか?

坂田 2022年4月にできたばかりです。中川政七商店とコラボで立ち上げたブランドで、これから育てていくブランドです。「かすりの里」や「TUGU.」は社内だけでやっていたので、今回は外部のデザイナーさんがいるのも今までと違う点。織物ブランドとしてどんな方向性でいくかを決めている段階です。

坪井 これから成長していくブランドなのですね。楽しみです!

今後の構想について

坂田 織元だからこそ柔軟に柄や色を考えることができて、それを実現できる工場や作り手がいてくれる。そんな恵まれた環境があるということがまずありがたいですし、今後もこの環境を活かした活動をしたいというのはすごく考えています。 実は、社長にはかすりのテーマパーク構想があるんです。併設する「坂田織物 café&shop」は、その構想の第1弾です。いずれはここにクリエイティブな方々が集まる拠点として、宿泊施設や博物館も作りたいという話も出ています。そこを具現化していくために周りがどう頑張れるのかが、これからの課題ですね。

坪井 織元さんのテーマパーク構想! 挑戦が止まりませんね。

坂田 実現できるかどうかはわからないですけど、ここでお話しないと実現できませんからね。ぜひ楽しみにしていてください。


織元だからできることを追求し続ける坂田織物。新ブランドの立ち上げやテーマパーク構想など、すでに挑戦は始まっています。

今回、インタビューをさせていただいた坂田由加里さんは気さくで明るい素敵な方でした。かすりについて熱く語るその姿はすごく輝いて見えて、実は初インタビューで緊張気味だった私も、ワクワクしながらお話しを伺うことができました。これからの坂田織物さんの取り組みがとても楽しみです。もっと多くの人に久留米かすりを好きになってもらえますように。

坂田織物のかすりを身近に感じてもらえる、オリジナルのアイテムの数々。こちらからご覧ください。

メーカー情報

有限会社 坂田織物

1948年福岡県で創業。伝統を守りつつも、新柄絣の製造や婦人服・雑貨などの商品化を行っている。

ウェブサイト

STAFF LIST

Planning
Yamaguchi Kayo
Planning
Inuzuka Shogo
Writer
Tsuboi Shiina